
交差点の真ん中で、猫が車にひかれて死んでいた。
交差点に入ってくる車はみな、死骸を踏みつけないよう、そこを避けるようにして走って行く。
横断歩道を渡る人たちも一応猫に気づいてはいるが、見て見ぬふりでそのまま通り過ぎる。
早く誰か保健所に連絡すればいいのに・・・
僕はただそれだけ思った。
信号が変わり車はまた走り出した。
僕は、なにもなかったようにその後に続いた。
帰りにもまた同じ交差点の前で止まった。
猫の死骸はまだそこにあった。
その時、横断歩道を渡っていた女子高生がふと立ち止まった。
彼女は猫を見ていた。
すると彼女は、右折してくる車を手で止め、交差点の真ん中の猫の所まで行った。
そしてかばんからハンカチを取り出すと、その上に猫を乗せるようにすっと両手で持ち上げた。
そのまま彼女は歩きだし、車道の横の芝生の上にそっとそれを置いた。
そして軽く手を合わせ、ハンカチを猫の上にそっと被せた。
やがて信号が変わり、車はまた走り出した。
僕は少し後ろめたい気持ちになってその後に続いた。
