白猫のたろーとじろーは、バイク屋の横の路地で生まれた。

だから、いつもバイクの下で、遊んでいる。

オッパイを飲むのも、バイクの下。寝るのもバイクの下。

でも、昼時になると岡田の婆ちゃんの家でお昼をもらう母ネコにくっついて、

チョロチョロと危なっかしい遠出をする。

車が通るたびに、サッと溝の中に身を隠す。

溝から半分、顔を出して、もう大丈夫だと母ネコが先に車道に出ると、

また、チョロチョロとその後に続く。

 

母ネコのご飯がすむまで、玄関の横の垣根で2匹は待っている。

たろーの方が体が 大きいのだが、甘えん坊で、

昼飯の時以外はいっときも母ネコのもとを離れようとはしない。

逆に体の小さい痩せたじろーはいつも眼ヤニで片目がつぶれていて、

凄みの点で言えばこちらが勝っている。

いかにも、ノラの風体で、僕を見る。

 

僕は、こいつらを見ながら思う。

いつかは、こいつらだって母ネコの元を去る時がくる。

自分の生きる場所を自分で見つけなければならないのだ。

一人で生きていかなければならないのだ。

でも、それまでは、こいつらは母ネコにくっついて、

生きてゆく術をひとつひとつ体で学んでいくのだろう。

 

 

食事の済んだ母ネコが、窓から出てくると、

もう待ち切れなくなった2匹は、その場でオッパイをせがむ。

母ネコは、ゴロンと横になる。

垣根越しに秋のやわらかい陽射しが差し込んでいる。

まだ始まらない危険な遠出の前の少しばかりの幸せである。